シンポジウムを開催しました みんなで豊かな教育をつくろう

 1月28日、守口文化センター「エナジーホール」で開催したシンポジウムは、800人を超える盛況で成功しました。みなさんのご支援と協力に感謝します。
 シンポジウムの登壇者のみなさんの発言から、ごく一部をかいつまんで紹介します。
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佐藤学さん (教育学者、東京大学教授、前日本教育学会会長)
  「大阪府教育基本条例案」は、とんでもない悪法です。知事が教育目標を決め、それに従わない教育委
員は罷免できる。条例の半分以上が、処罰に関する規定になっています。“ 脅迫と恐怖によって教育を変えよう” という、とんでもない条例なんです。
 大阪の教師たちは、ほかの都道府県より困難ともいえる教育環境のなか、奮闘しています。“少しでも生徒たちに、質の高い教育を実践したい”、“差別のない教育を保障したい”と頑張っています。それら奮闘する教師を、どうやって支えていくか? 考えるべきは、まずそこでしょう。
 教育の根底にあるべきものは「信頼」です。私はどんな状況にあっても、子どもたちや教師たちのことを信頼したい。信頼のなかにしか、教育は成立しないと思っています。
 子どもは学び続ける希望を持っている限り、決して崩れません。たとえ生活環境などに困難を抱えようと、学ぶ希望がある子どもは決して崩れないんです。そしてその希望を支えるのは、教師と生徒、保護者たちとの信頼関係です。この信頼関係を破壊する条例案を、決して許してはいけません。

池田知隆さん (元大阪市教育委員長、元毎日新聞論説委員)
 「大阪府教育基本条例案」をみると、教育の現場を「支援」するのではなく、基本的に「支配」しようとしていますよね。先生たちを締めつけ、ムチでひっぱたけばどうにかなると思っています。でも、大阪の教育問題は、決して先生の問題ではありません。
 大阪は、経済的に苦しい家庭の子どもがほかの地域と比較しても多い。また、両親が離婚している子や、毎日朝食を食べていない子どもの割合が、全国的に高いことも知られています。子どもたちの学力を上げようとするならば、先生を締めつけるのではなく、まずこういった生活環境の厳しさみたいなものをなんとかしていくところから始める必要があると思います。
 教育改革とは、長いスパン(幅)で考え、皆で熟議をし、さまざまな教育手法などを検討したうえで行うべきものです。たとえ橋下さんが選挙で選ばれたからといって、教育委員会でほとんど議論されていないことなどを条例に掲げ、上から唐突に「これをやれ!」と言うのは、暴挙で、恫喝です。許されることではないし、教育の現場は無茶苦茶になってしまうことでしょう。

前田佐和子さん (地球物理学者、前京都女子大学教授)
 橋下さんは知事になってから、たとえば学力テストの成績の公表、学校選択の自由化、バウチャー(利用券)制などの教育改革案を出しています。これらはすべて、1980年代の終わりに、イギリスのサッチャー首相が国の教育予算をできるだけ削減しようとしてやったことです。しかし起きたことのひとつが格差の拡大です。学力テストで良い結果を出す学校にお金持ちの子どもたちが集中し、地域による貧富の差が大きくなっていきました。子どもたちの学力は低下し、治安も悪くなりました。現在、この改革は失敗だったとされています。
 ひるがえって日本はどうでしょう?学術研究の現場を支えている人の中に、30代なかばで年収300万円以下、数年雇用で健康保険も雇用保険もないという人が少なからずいます。高い教育を受けながら、彼らは非常に「安く使われて」いるのです。今や「エリートとそれ以外」という状況ですらありません。しかし橋下さんは、格差をさらに広げるような改革を行おうとしています。私たちは、どのような教育が子どもたちにとって望ましいか、よく考えなくてはならないと思います。

野田正彰さん (精神病理学者、関西学院大学教授)
 橋下氏は府知事になる前、自著の中で自分の子どもを殴って育てたことを自慢しています。時には数十分にわたって、殴り続けたこともあるそうです。しかし子どもは、殴ることでよりよく育つものなのでしょうか?あるいは「勉強しろ!」と怒鳴ることで、成績が上がるものなのでしょうか?そんなことは、決してありません。
 近代社会は人々に、幼いころからさまざまな抑圧を埋めこみます。たとえば「こんなことをしたら生きていけないぞ」とか、「社会から恐ろしい目にあうぞ」といった恐怖心を、無意識のうちに植えつけているのです。教育とは、このような恐怖や抑圧を子どもたちから取り除き、自分のいきいきした関心を社会に向けさせることに目的があります。橋下氏が掲げる「大阪府教育基本条例」は、抑圧と恐怖、弾圧を徹底しようというもので、教育の目的に真っ向から反するものではないでしょうか?
 今、求められているのは本当の意味でのリーダーシップです。脅しや抑圧でなく、現場で働く教師の思いをくみとり、教育に取り組む意欲を高めさせてくれるリーダーや改革こそが、求められているのです。

香山リカさん (精神科医)
 教育は子どもの成長に、大きな影響を与えます。でも、どんな教育がどんな影響を与えるのかは、実は簡単に言えることではありません。
 たとえば小学校時代、熱意もやさしさもあるが持病を抱え、学校を休みがちな担任の先生がいたとします。その先生は“授業がきちんとできない先生”として、保護者などの間で問題になっていたかもしれない。だけど生徒たちは先生が大好きで、みんなで一生懸命、その先生を支えようとした。その経験が、実はおとなになった時、とても役立ったり、自分を支える糧となったりする場合があります。逆に「これぞ良い教育」という信念を掲げ、授業や教育指導をバリバリ行う先生との出会いが、その生徒を長きにわたって苦しめる、トラウマとなったりする場合などもあります。
 「大阪府教育基本条例案」では教育が、会社の売り上げやスポーツ・チームの成績のような、目に見える結果がすぐ出るものだととらえられています。教育とは、すぐに結果が出て、判定できるものとは性質が異なります何がよい教育で教師かは、この条例が言うような単純なものではないのです。



 わたしたちは、条例を廃案に追い込むために運動を続けます。その一助になればと考え、登壇者のみなさんのよりくわしい発言をはじめ、シンポジウムの内容をまとめたパンフレットも作成しました。
 パンフレットの普及にご協力いただける場合はご連絡ください。
一部30 円( 10 部以上送料無料) でお送りいたします。
メール: oosakakyouiku2011★yahoo.co.jp(★→@)

# by oosakakyouiku2011 | 2012-02-28 00:00 | お知らせ・報告

1月28日、大阪でシンポジウム開催します

アピール「大阪教育基本条例案に反対します」よびかけ人10氏が、下記のように、1月28日に大阪で反対のシンポジウムを開催することになりました。アピールの賛同も100人を越えて広がっています。新たな賛同はおって掲載します。お近くの方はぜひ、お越しください。

◆名称:教育基本条例に反対するシンポジウム
――ともに考えよう 子どもたちの未来と大阪の教育
◆主催:「大阪教育基本条例反対アピール」よびかけ人
◆日時:1月28日(土) 午後1時30分~5時
◆場所:守口文化センター「エナジーホール」
◆登壇者:
・池田知隆(前大阪市教育委員会委員長、元毎日新聞論説委員)
・香山リカ(精神科医)
・佐藤学(教育学者、東京大学教授、前日本教育学)
・野田正彰(精神病理学者、関西学院大学教授)
・前田佐和子(地球物理学者、前京都女子大学教授)

シンポジウム案内告知ビラのPDF(729.7kB)

# by oosakakyouiku2011 | 2012-01-12 16:40

記者発表後、18人の方から賛同がよせられました。

11月17日の記者会見後、文化人のみなさん、関西圏の大学学長、教育系学部長をはじめとする大学関係者、教育研究者のみなさん18人から新たに賛同が寄せられ、賛同者は76名にのぼっています。新たな賛同者・メッセージを追加しています。

呼びかけ人、賛同者一覧
賛同メッセージ

# by oosakakyouiku2011 | 2011-12-02 15:44

大阪府教育基本条例案に反対します

 私たちは、「大阪維新の会」が大阪府議会に提案している教育基本条例案について、大阪にとどまらず日本社会全体にとって見過ごせない問題であると考え、このアピールを発表することにしました。
 私たちは何より条例案が、学校教育を知事及び議会の直接的な支配下に置こうとすることに強い危惧を覚えます。条例案によれば知事は、「学校における教育環境を整備する一般的権限」をもち、府立学校に至っては「教育目標」を設定する権限まで委ねられています。さらに、知事の目標に服さない教育委員の罷免、教職員への厳しい処罰などの教育への権力統制の体系が盛り込まれています。
 人間を育てる教育には、教える者と教えられる者との、自由な人間どうしの魂の交流が不可欠です。また、子ども一人ひとりの現実に即した、教員や保護者、子どもを支える多くの人々の知恵と判断が尊重されなければなりません。知事や議会が教育上何が正しいかを決定し、それに異議をとなえる者を排除していくことは、教育の力を萎えさせ、子どもたちから伸びやかな成長を奪うものです。
 しかも、学校教育を知事や議会の直接的な支配下におくことは、憲法と法令に抵触します。教育基本法第十六条は「教育は不当な支配に服することなく」としていますが、この文言は、時の権力が軍国主義教育をすすめた過去への深い反省のうえに定められた、日本の教育の大原則です。その結果、地方の教育行政は首長が指揮監督する一般行政から分離され、教育委員会がつくられました。
 教育委員会の実態やその行政に不十分さがあることは私たちも知っています。しかしその解決は、教育委員会の民主的な改革に求められるものであり、知事らによる直接的な支配となれば不十分さはますばかりです。
 私たちはさらに、「維新の会」の政治的な手法に危うさを感じています。いったん選挙に勝ったことによって、あたかもすべてを選挙民から白紙委託されたように振る舞うことは、ファシズムの独裁政治を想起せざるをえません。

多くの方々が力をあわせ、大阪府教育基本条例案やそれに類する計画をとめ、子どもの伸びやかな成長のために考えあい話しあい、できることから行動していくことを訴えます。




# by oosakakyouiku2011 | 2011-11-17 14:30 | アピール

よびかけ人・賛同者一覧

【よびかけ人】
池田 香代子(翻訳家)
市川 昭午(国立大学財務・経営センター名誉教授)
尾木 直樹(教育評論家)
小野田 正利(大阪大学教授)
小森 陽一(東京大学教授)
佐藤 学(東京大学教授、日本学術会議会員)
高橋 哲哉(東京大学教授)
竹下 景子(女優)
野田 正彰(関西学院大学教授)
藤田 英典(共栄大学教授、日本教育学会会長)

【賛同者】
赤川 次郎(作家)
赤瀬川 隼(作家)
浅田 次郎(作家)
あさの あつこ(作家)
鯵坂 真(関西大学名誉教授)
阿刀田 高
姉崎 洋一(北海道大学大学院教育学研究院長・学部長)
天野 祐吉(コラムニスト)
安斎 育郎(安斎科学・平和事務所所長)
池内 了(総合研究大学院大学理事)
池田 知隆(元大阪市教育委員長)
石川 文洋(写真家)
石川 康宏(神戸女学院大学)
石坂 啓(漫画家)
一色 尚(東大阪大学・東大阪大学短期大学部学長)
伊藤 真(伊藤塾塾長、弁護士)
今江 祥智(童話作家)
上杉 孝実(教育研究者)
上野 景三(佐賀大学教授)
上原 公子(元東京都国立市長)
碓井 岑夫(四天王寺大学教授)
内田 樹(神戸女学院大学名誉教授)
宇都宮 健児(弁護士)
梅原 英治(大阪経済大学教授)
梅原 猛(哲学者)
浦野 東洋一(帝京大学教授)
浦部 法穂(神戸大学名誉教授)
永 六輔
江尻 美穂子(元大学教員)
大内 裕和(中京大学教授)
大田 堯(教育研究者)
大谷 玲子(ヴァイオリニスト)
大林 宣彦(映画作家)
大原 穣子(方言指導)
小川 正人(放送大学教授)
奥平 康弘
小山内 美江子(脚本家)
尾山 宏(弁護士)
甲斐 道太郎(大阪市立大学名誉教授)
門脇 厚司(筑波大学名誉教授)
亀谷 和史(日本福祉大学教授)
香山 リカ(精神科医)
川北 稔(仏教大学特任教授)
川本 治雄(和歌山大学教育学部長)
姜 在彦(元花園大学客員教授)
木戸 衛一(大阪大学教員)
日下部 吉彦(音楽評論家)
窪島 誠一郎(作家・「無言館」館主)
久保 富三夫(和歌山大学教育学部教授)
栗山 民也(演出家)
小中 陽太郎(日本ペンクラブ理事、星槎大学教授)
是枝 裕和(映画監督)
斎藤 貴男(ジャーナリスト)
齋藤 眞宏(旭川大学准教授)
崔 洋一(映画監督)
坂本 義和(東京大学名誉教授)
佐貫 浩(法政大学教授)
澤地 久枝
品川 正治(経済同友会終身幹事・一般法人国際開発センター会長)
下重 暁子(作家)
志茂田 景樹(作家・「よい子に読み聞かせ隊」隊長)
杉原 泰雄(一橋大学名誉教授)
杉 良太郎
住友 剛(京都精華大学准教授)
清野 佳紀(大阪保健医療大学学長)
妹尾 河童(舞台美術家・エッセイスト)
高畑 勲(アニメーション映画監督)
高村 薫(作家)
竹中 恵美子(大阪市立大学名誉教授)
伹尾 哲哉(神戸親和女子大学発達教育学部長)
田島 征彦
田中 孝彦(武庫川女子大学教授)
田中 恒子(大阪教育大学名誉教授)
田中 康夫(前梅花女子大学教授)
谷村 志穂(作家)
辻本 雅史(京都大学大学院教育学研究科教授)
土屋 基規(神戸大学名誉教授)
都出 比呂志(大阪大学名誉教授)
寺崎 弘昭(山梨大学教授)
寺﨑 昌男(東京大学名誉教授)
暉峻 淑子(埼玉大学名誉教授)
土橋 亨(映画監督)
鳥飼 玖美子(立教大学特任教授)
内藤 林(大阪大学名誉教授)
直木 孝次郎(大阪市立大学名誉教授)
永井 愛(劇作家・演出家)
永井 憲一(法政大学名誉教授)
中嶋 哲彦(名古屋大学大学院教授)
中谷 彪(元大阪教育大学長)
那須 稔雄(山形大学地域教育文化学部長)
西谷 敏(大阪市大学名誉教授)
西村 章次(埼玉大学名誉教授)
二宮 厚美(神戸大学教授)
根岸 季衣(俳優)
野末 悦子(産婦人科医師)
長谷川 千秋(元新聞記者)
初瀬 龍平(京都女子大学客員教授)
原田 智子(漫画家)
広川 禎秀(大阪市立大学名誉教授)
広田 照幸(日本大学教授)
広原 盛明(元京都府立大学学長)
冨士谷 あつ子(評論家)
藤本 義一(作家)
古田 足日(児童文学者)
降旗 康男(映画監督)
辺見 庸(作家)
朴木 佳緒留(神戸大学教授)
堀尾 輝久(東京大学名誉教授)
本多 勝一(『週刊金曜日』編集委員)
本田 由紀(東京大学大学院教育学研究科教授)
前田 佐和子(前京都女子大学教授)
松田 正久(愛知教育大学学長)
松本 猛(絵本・美術評論家、ちひろ美術館常任顧問)
道浦 母都子(歌人)
宮腰 英一(東北大学教授)
宮本 憲一(大阪市立大学・滋賀大学名誉教授)
村田 尚紀(関西大学教授)
茂木 俊彦(民主教育研究所代表)
森 南海子(服飾デザイナー)
森岡 孝二(関西大学教授)
山内 敏弘(一橋大学名誉教授)
山口 二郎(北海道大学教授)
山﨑 高哉(大阪総合保育大学学長、元大阪市教育委員長)
山崎 朋子(女性史・ノンフィクション作家)
山田 洋次(映画監督)
山中 恒(作家)
山本 健慈(和歌山大学長)
山家 悠紀夫(暮らしと経済研究室)
湯川 れい子(音楽評論家・作詞家)
吉田 栄司(関西大学法学部教授)
ヨシトミ ヤスオ(マンガ家・京都精華大学名誉教授)
米倉 斉加年(俳優)
和田 進(神戸大学教授)
渡辺 一枝(作家)
渡辺 武(元大阪城天守閣館長)

(賛同1356名 2011年2月5日時点)

# by oosakakyouiku2011 | 2011-11-17 14:30 | よびかけ人・賛同者
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私たちは、「大阪維新の会」が大阪府議会に提案している教育基本条例案について、大阪にとどまらず日本社会全体にとって見過ごせない問題であると考え、このアピールを発表することにしました。


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