石川 文洋(写真家)
大阪府・大阪市の「教育基本条例案」「思想調査」に強く反対します。
上杉 孝実(教育研究者)
教育が教育でなくなる道を防がなければなりません。
大原 穣子(方言指導)
私は教育勅語の下、そして「教育基本法」の下で「みんな違って、みんないい」と云うそれぞれの個性をのびのびと伸ばせる教育の二つの教育制度の下で成長して来ました。橋下市長の言動を見ていると、すごいファッショ的なものを感じます。子どもたちが自分の頭で考え、自分の足で行動出来るそんな教育をのびのびと受けられるようにと、願っています。
門脇 厚司(筑波大学名誉教授)
上程されている条例案は、これから辿ることになる社会の先行きについての見通しをまったく欠落させた時代錯誤も甚だしい情けないもので、残念ながら、内容についていちいち言及する気はまったく起こりません。
しかし、このような条例がこのようなかたちで出される根源に、わが国の都道府県及び市町村教育委員会のほとんどが、独自の高い見識にもとづく地域特性を活かした教育施策を主導するという本来の役割を果たせず、文部科学省の下請け機関となりラウンドスピーカーになり下がっていることにあると考えます。この度の条例案を廃案にする働きかけをすると同時に、あるいはそれ以上に、教育委員会そのものの刷新に向けた努力を懸命に為さねばならないのだと考えます。
久保 富三夫(和歌山大学教育学部教授)
教育基本条例案は、部分的に修正したとは言うものの、教育行政への首長のなりふりかまわぬ介入に道を開き、教職員を評価と処分でおどし、子どもと教職員を真理探究の営みから上意下達と競争主義の世界に今以上に追い詰めるものである点で、本質的に「維新の会」案と同じです。
橋下氏らが強調する「学力」概念自体に問題がありますが(ユネスコ「学習権宣言」がうたうものとはまったく異質)、百歩譲ってその「学力」向上のためであっても、本来は、大阪府・市における独自の少人数学級の推進(基本は法改正によること)や教職員と子どもがゆとりをもって教育・学習活動にあたれる条件整備、さらに、学問・研究の自由を基盤にした自主的な研修活動の保障による教員の教育力量向上が必要です。
また、職員に対する「アンケート調査」は、地方公務員法第36条(政治的行為の制限)の規定に職員が違反しているか否かの実態把握を完全に逸脱した憲法第19条違反の「思想調査」以外の何者でもありません。このことをマス・メディア(そして、多くの大阪府民・市民)がいまだに深刻に受け止めていない事態に、日本の民主主義と国民の人権感覚の脆弱さを痛感します。率直に言って、大阪府・市の教職員ではない小生であっても、意見表明することについて恐怖感を覚えます。教職員が従来以上に萎縮し、「長いものにはまかれろ」の諦め・思考停止が学校に蔓延する中では、子どもの豊かな成長はもとより、「世界標準で競争力の高い人材」育成すら実現できないでしょう。基本条例案の廃案を強く求めます。
住友 剛(京都精華大学准教授)
「修正案」として出された教育行政・学校・職員の3つの基本条例案。どれをどう読んでも、学校がよくなり、子どもの暮らしがよくなる実感が持てません。「こんな条例案なら、どれも制定しないでほしい。余計なことはしないでほしい」と、強く願います。
直木 孝次郎(大阪市立大学名誉教授)
大阪府・市の教育基本条例案に反対するアピールに全面的に賛成します。正しい教育の実行には、自由な環境が必要です。教師の思想・信仰の自由を制約する府・市の教育基本条例のもとでは、本当の教育は行われず、型にはまった教育となることを憂います。かつて戦時中、小学校の生徒を人間としてでなく、国に役立つ人間に育てるために、小学校を国民学校と改称し、戦争が日本の惨敗に終わると、小学校にもどした苦い歴史を経験しました。教育は政治の支配から独立して、自由でなければならないことを改めて強調したいと思います。
西村 章次(埼玉大学名誉教授)
条例案は子どもを忘れ、教育を逸しています。
堀尾 輝久(東京大学名誉教授)
大阪の教育をめぐる動きは、東京にも重ねて胸を傷めています。教育を条例でしばり、職務命令で強制することは教育を生かし子どもを人間として育てる仕事にはなじみません。むしろ障害になります。学校に自由を、教育に人間を!と訴えます。
宮本 憲一(大阪市立大学・滋賀大学名誉教授)
大阪府・市の「教育基本条例」は憲法の思想信条の自由を束縛するだけでなく「全体の奉仕者」である公務員の基本的任務に違反するものです。教育は政治に中立であり、独自の理想と自由をもち、そのことは原則として教員個人にもみとめられているものです。維新の会の方針は大阪の教育を破壊するもので容認できません。
山崎 朋子(女性史・ノンフィクション作家)
先生の自由は、子どもの自由と直結します。〈権力〉の口出しは絶対に許してはいけません。
渡辺 一枝(作家)
一人一人の個性を大切に育むことこそが教育の真髄です。首長や教育委員会におもねる「教育基本条例案」には反対します。